「マンションは、戸建てより資産価値が落ちにくいって本当?」
マンションを購入しようと考えたとき、こんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
マンション営業をしていた頃も、お客様からよく聞かれた質問のひとつでした。
ただ、その多くは「将来売って利益を出したい」という話ではありません。
ずっと住むつもりだけど、転勤になったり、実家に戻ることになったりする可能性もゼロではない。もしそうなったら、家はどうなるんだろう?
そんな「もしものとき」を考えて、確認しておきたいという方が多かった印象があります。
私も、マンションのほうが一般的には資産価値が落ちにくい傾向があると考えています。
ただし、マンションならどんな物件でも価値が保たれるわけではなく、立地や築年数、間取り、管理状態などによって変わります。
そこでこの記事では、マンションと戸建ての資産価値の違いと、購入前に将来の売却価格をイメージするために私が見ていた方法についてまとめます。
マンションのほうが資産価値が落ちにくいと言われる理由

マンションの資産価値について調べると、「戸建てよりも落ちにくい」と説明されていることがあります。
その理由はいくつかあります。
建物の価値が比較的残りやすい
ひとつは、建物の構造の違いです。
マンションはRC造などの比較的耐久性の高い構造が多く、税務上の法定耐用年数も木造戸建てより長く設定されています。
一方、戸建ては木造住宅が多く、建物部分の価値がマンションより早く下がっていく傾向があります。
ただ、法定耐用年数はあくまで税務上の減価償却の基準です。それだけで中古住宅の売却価格が決まるわけではありません。
「築年数が古いから価値がない」とも、「RCだから高く売れる」とも言い切れず、実際の市場ではさまざまな条件を見て価格が決まります。
立地の良い場所にマンションが多い
資産価値を考えるとき、私が一番大きいと感じるのは立地です。
駅に近い。
買い物がしやすい。
通勤や通学に便利。
病院や学校など生活に必要な施設が近い。
こうした場所にはマンションが多く建てられています。
つまり、「マンションだから資産価値が落ちにくい」というより、資産価値を維持しやすい立地のマンションが多いことも理由のひとつだと思います。
同じマンションでも、駅から徒歩5分と徒歩25分では、将来売るときの評価が変わる可能性があります。
間取りが比較的スタンダード
もうひとつは、間取りです。
マンションでは、2LDKや3LDKなど、ある程度スタンダードな間取りが多くなります。
たとえば70㎡前後の3LDKなら、子育て世帯から夫婦2人の世帯まで、比較的幅広い人が暮らし方をイメージできます。
注文住宅のように、「この家族にはぴったりだけど、ほかの人には使いにくい」という個性的な間取りになりにくいのもマンションの特徴です。
中古で売るときも、次に住む人が自分たちの生活を想像しやすいことは、ひとつの強みになると思います。
「マンションなら安心」とも言い切れない
ここまで見ると、マンションのほうが資産価値を維持しやすそうに感じます。
ただ、実際の売却価格は、建物の種類だけで決まるものではありません。
特に大きいのが、やはり立地です。
同じ築年数、同じくらいの広さのマンションでも、エリアが違えば価格は大きく変わります。
さらに、
- 駅からの距離
- 周辺の生活利便性
- 築年数
- 専有面積
- 間取り
- 階数や向き
- 建物の管理状態
- 修繕計画
- 周辺の中古物件の数
など、いろいろな条件が重なって売却価格が決まります。
「マンション」というだけで将来の価格が決まるわけではなく、その物件がある場所と、その物件自体の条件を見ることが大切です。
戸建てにも「土地」という強みがある

では、戸建ては資産価値が落ちやすいのでしょうか。
ここは少し違う見方も必要です。
戸建ての場合、建物の価値が下がっていっても、土地の価値は別に考えられます。
たとえば駅から近く、人気のあるエリアに土地を持っている場合、建物が築年数を重ねても土地そのものの価値が支えになることがあります。
一方、マンションにも土地の持分はありますが、戸建てのように土地を単独で所有するわけではありません。
この違いがあるので、
「マンションは資産価値が高く、戸建ては低い」
という単純な比較では考えにくいのです。
戸建てなら土地、マンションなら立地や建物、管理状態など、それぞれ違うところに価値があります。
「将来いくらで売れる?」を正確に予測するのは難しい
ここまで読んで、
「じゃあ、今買おうとしているマンションは、10年後にいくらくらいで売れるんだろう?」
と思うかもしれません。
これは、購入時点で正確に知ることは難しいです。
10年後の不動産市場がどうなっているかは分からないからです。
金利や景気、人口の変化、周辺の開発、新しいマンションの供給など、今とは違う条件になっている可能性があります。
だから私は、購入前に「10年後は○万円で売れる」と考えるより、今の中古市場を見ておくことをおすすめします。
マンション営業をしていた頃も、お客様には「実際に中古物件を見てみると参考になりますよ」とお話ししていました。
資料を用意して一緒に見ていただくこともありましたし、家に帰って不動産サイトで検索してみるだけでもいいと思いご案内していました。
では、具体的にどんな中古物件を見ればいいのでしょうか。
購入前に、似た中古マンションを調べてみる

私が住宅営業をしていた頃、資産価値について質問されたお客様には、今の販売価格だけを見るのではなく、周辺の中古物件も見てみるようお話していました。
今なら、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、実際の取引価格や成約価格を調べることもできます。
不動産会社のサイトで現在売り出されている物件を見るのとあわせて、こうした公的なデータも参考にすると、そのエリアの価格感をつかみやすくなります。
たとえば、検討しているマンションが、
- ○○駅から徒歩10分以内
- 70㎡前後
- 3LDK
- ファミリー向け
という条件なら、同じエリアで似た条件の中古マンションを探してみます。
できれば築年数もいくつかに分けて見てみると、より参考になります。
「築何年で、今いくら?」を見てみる
たとえば、
「築5年の似たマンションはいくらで売りに出ている?」
「築10年なら?」
「築15年では?」
という具合です。
もちろん、まったく同じマンションではないので、その価格が将来の売却価格になるわけではありません。
それでも、実際の中古市場を見ることで、
「このエリアでは、築10年くらいになると、このくらいの価格帯のマンションが出てくるんだ」
という感覚を持つことができます。
新築マンションの販売価格だけを見ていると、どうしても「今の価格」しか分かりません。
中古物件を一緒に見ることで、築年数が進んだときの市場の姿を少し想像しやすくなると思います。
できれば「似た条件」に絞って見る

中古物件を探すときは、単純に同じエリアのマンションを全部見るより、条件をある程度そろえたほうが比較しやすいです。
たとえば、
- 駅からの距離
- 専有面積
- 間取り
- 築年数
- 階数
など。
特に駅距離と広さは、できるだけ近いものを選びたいところです。
「駅から徒歩5分の60㎡」と「徒歩20分の90㎡」を比べても、価格差の理由が分かりにくくなります。
厳密に同じ条件にする必要はないので、「自分が検討しているマンションと、次に買う人が比較しそうな物件」という視点で探すと分かりやすいです。
同じような中古物件が何件あるかも見る
価格と一緒に、私なら「何件くらい出ているか」も見ます。
たとえば、同じエリアで、
「70㎡前後・3LDK・駅徒歩10分以内」
という条件で検索してみて、似た中古マンションが2~3件しかないのか、20件以上あるのか。
これだけでも、そのエリアの中古市場の雰囲気をつかむ材料になります。
似た物件がたくさん出ていれば、将来売却するときにも同じような中古物件と比較される可能性があります。
反対に、似た条件の物件がほとんど出ていなければ、それもひとつの発見です。
ただし、物件数が少ないから必ず売りやすい、という意味ではありません。
あくまで、
「今、このエリアにはどのくらい似た中古物件が出ているんだろう?」
と市場を見るための材料です。
マンションだけでなく、同じエリアの戸建ても見てみる
せっかくなら、マンションだけでなく中古戸建ても検索してみると面白いです。
同じエリアで、
「中古マンションならこのくらい」
「中古戸建てならこのくらい」
という価格帯をざっくり見てみます。
戸建ての場合は土地の広さも価格に影響するので、マンションほど単純には比較できません。
それでも、同じエリアでどんな住宅が、どのくらいの価格で売りに出されているのかを見ることで、「マンションと戸建て、どちらにするか」を考える材料にはなります。
資産価値だけで住宅を選ぶ必要はありませんが、購入するエリアの中古市場を知っておくことには意味があると思います。
「売り出し価格」と「実際に売れた価格」は違う
ここは、中古物件を調べるときに気をつけたいところです。
不動産サイトに掲載されているのは、基本的に「この価格で売りたい」という売り出し価格です。
実際にいくらで成約したのかまでは、掲載情報だけでは分からないことがあります。
そのため、
「築10年のこのマンションが3,500万円で出ているから、10年後は3,500万円で売れる」
という見方はできません。
値下げされることもありますし、最終的な成約価格が売り出し価格と異なることもあります。
中古物件を検索するときは、「将来の答え」ではなく、「今の市場を知るための参考資料」くらいに考えておくのがちょうどいいと思います。
「もし売ることになったら?」を購入前に少し考えてみる

マイホームを買うとき、最初から売却を前提にする必要はないと思います。
私自身も、家を買うなら「ここに住みたい」という気持ちは大切にしたいです。
ただ、何十年も暮らす家だからこそ、
「もし転勤になったら?」
「もし実家に戻ることになったら?」
「もし家族構成が変わったら?」
と、少しだけ先のことを考えておくのも悪くないと思っています。
そんなときに役立つのが、購入前に見ておいた中古物件です。
今の自分たちが検討している家と似た住宅が、築年数を重ねたあとにどんな価格で市場に出ているのか。
それを見ておけば、「もし手放すことになったら」という場面を、何も知らない状態より少し具体的に想像できます。
資産価値は「高い家」より「選択肢を残せる家」と考えてみる
私は、マイホームの資産価値を考えるとき、「できるだけ高く売れる家を買おう」と考えすぎなくてもいいと思っています。
家は投資商品ではなく、まず自分たちが暮らす場所だからです。
家族が暮らしやすいこと。
通勤や通学に無理がないこと。
予算に無理がないこと。
そうした条件を優先したうえで、もし将来手放すことになったときにも選択肢が残りそうかを見る。
そのくらいの距離感が、マイホームの資産価値を考えるうえではちょうどいいのではないでしょうか。
マンションは一般的に戸建てより資産価値が落ちにくい傾向があります。
ただ、実際の価値は立地や築年数、間取り、管理状態などによって変わります。
だからこそ、気になるマンションがあれば、購入を決める前に一度そのエリアの中古物件を検索してみる。
「築10年ならこのくらいなんだ」
「同じような物件がこんなに出ているんだ」
と知っておくだけでも、家選びの見え方は少し変わるかもしれません。
私もマンション営業時代、お客様には「家に帰ってから不動産サイトで中古物件を見てみるのも参考になりますよ」とお伝えしていました。
これから家を買う方は、気になる物件の新築価格だけでなく、同じエリアの中古市場も一緒に眺めてみてはいかがでしょうか。
この記事も読まれています



