「どうして転職したんですか?」
そう聞かれると、少し答えに迷います。
会社が嫌だったわけではありません。
人間関係が悪かったわけでもありません。
むしろ、私は住宅営業という仕事が好きでした。
それでも20代で転職を決めました。
今日は、そのとき私が何を考え、どう準備し、どんな気持ちで退職したのかを書いてみようと思います。
転職を考え始めたきっかけ
私が働いていたのはマンションの営業です。
モデルルームでお客様をご案内し、住宅ローンや間取りの打ち合わせをして、お引き渡しまでサポートする仕事でした。
最初の頃は、とにかく必死。
でも、少しずつ成績が出るようになってから、この仕事がどんどん好きになっていきました。
お客様と新しい暮らしを一緒に考える時間が、本当に楽しかったんです。

- 契約をいただけたときの喜び。
- 「香織さんにお願いしてよかった」と言っていただけるうれしさ。
- 入居まで一緒に伴走できるやりがい。
今振り返っても、本当に好きな仕事だったと思います。
給料も同年代ではかなり良かったです。
一緒に働く同僚も大好きでした。
だから、「辞めたい」と思ったことはほとんどありませんでした。
でも一方で、働き方にはずっと違和感がありました。
このままでは、結婚も子育ても難しいと思った

当時は2010年代前半。
今とは働き方も少し違っていました。
月末に目標が達成できていなければ、夜遅くまでモデルルームで待機する、定休日でもモデルルームを開けることがありました。
お客様のお仕事が終わる19時からご案内することも珍しくありません。
帰宅が0時近くになる日もありました。
休日出勤も珍しくありません。
それでも当時は、「営業だから仕方ない」と思っていました。
お客様のために頑張ること自体は嫌じゃなかったんです。
でも、そんな毎日を過ごす中で、少しずつ思うようになりました。
「私は、この働き方を何歳まで続けられるんだろう。」
友人の結婚式に参加した日。
30歳という節目が近づいてきた頃。
結婚や子どもを持つ未来を考えるようになったとき。
私は初めて、「人生」という視点で仕事を見るようになりました。
仕事は好き。
でも、この働き方では私が思い描く人生は難しい。
そう思ったことが、転職を考え始めたきっかけでした。
転職すると決めても、すぐには辞めませんでした
転職を決めた私は、すぐに退職届を書いたわけではありません。
「1年後に辞めよう。」
そう決めました。
マンションには入居のタイミングがあります。
- 担当していたお客様のこと。
- これから引き継ぐ同僚のこと。
- 会社の状況。
いろいろ考えた結果、「このタイミングなら迷惑を最小限にできる」と思える時期を選びました。
そこからの1年間は、辞める日を決めていたからといって変わらず、全力で頑張りました。
そして、退職後に困らないよう、お金の準備も進めました。
生活防衛資金をしっかり用意したことは、今振り返っても本当にやってよかった準備です。
詳しくは、生活防衛資金について書いた記事で紹介しています。

誰にも相談せず、決断してから伝えた
退職を会社へ伝えたのは、辞める5か月前でした。
そのとき、自分の中で決めていたことがあります。
それは、
辞めたいと思っています。
ではなく、
5か月後に退職させてください。
とはっきり伝えること。
迷っている状態で相談すると、自分まで迷ってしまう気がしていました。
そして、おそらく引き止められるだろうとも思っていました。
実際、本社から上司が来て面談をするほど、強く引き止めていただきました。
期待していることや、これからのキャリアについても、たくさん話をしてくださいました。
本当にありがたかったです。
それでも、私の決意は変わりませんでした。
会社が嫌だったから辞めるのではありません。
自分がどんな人生を送りたいのかを考え、そのうえで出した答えだったからです。
在職中に転職活動をしなかった理由

今なら、在職中に転職活動をする人が多いと思います。
でも当時の私は、それができませんでした。
面接の日程調整も大変でしたが、それ以上に、
「会社に在籍しながら、次の会社を探している。」
そのことに、どこか罪悪感があったんです。
真面目すぎたと言われれば、その通りかもしれません。
今なら、「そこまで考えなくてもよかったかな」と思います。
でも、あの頃の私は、その方法しか選べませんでした。
だから私は退職を伝えてから転職活動を始めました。
今思えば少し不器用だったかもしれません。
でも、自分が納得できる方法だったからこそ、後悔はありません。
最後の日に思ったこと

退職までの間、本当にたくさんの人に支えていただきました。
送別会は4回も開いていただき、営業所ごとにいろいろなメンバーが集まってくれました。
お客様からも、たくさんのお手紙をいただきました。
香織さんのおかげで素敵な家に住めるようになりました。
我が家はみんな香織さんが大好きです。
今でも忘れられない言葉です。
県外へ引っ越されたお客様が、わざわざ会いに来てくださったこともありました。
退職直前には営業の賞もいただきました。
そんな最後を迎えられたことで、あらためて思ったんです。
私は、本当に幸せな住宅営業だった。
だからこそ、この会社を辞める決断は簡単ではありませんでした。
仕事が嫌だったから辞めたわけではない。
むしろ、好きな仕事だったからこそ、最後まで責任を持ってやり切りたいと思えたのだと思います。
年収は下がった。でも後悔はありません

年収はかなり下がりました。
正直、お金だけを比べれば住宅営業を続けたほうがよかったかもしれません。
それでも、「あのときに戻りたい」と思ったことは一度もありません。
あの転職があったから、今の夫と出会い、子どもが生まれ、今の暮らしがあります。
私が選んだのは、「仕事」ではなく「人生」だったからです。
あの転職があったから、今の働き方があります。
今は時短勤務で働きながら、家族との時間も大切にできています。

まとめ|仕事を選ぶか、人生を選ぶか
転職を考える理由は人それぞれです。
給料かもしれません。
人間関係かもしれません。
やりがいかもしれません。
私の場合は、「人生設計」でした。
好きな仕事を辞めることは、とても勇気がいる決断でした。
でも、「どんな仕事をするか」だけではなく、「どんな人生を送りたいか」を考えたことで、自分なりの答えを出せたと思っています。
もし今、転職するか迷っている方がいたら、仕事だけではなく、その先にどんな暮らしを送りたいのかも、一度考えてみるのもいいかもしれません。
きっと、その答えが、自分らしい意思決定につながるはずです。



