「住宅購入を考え始めて何年も経つのに、なかなか決められない。」
そんな悩みを抱えている人は、意外と少なくありません。
私は元住宅営業としてたくさんのお客様の家探しを見てきました。
そして今は、自分自身も2029年の入居を目標に住宅購入を考えている立場です。
住宅購入で決められない理由は、人によって違います。
- 失敗したくない
- 住宅ローンが不安
- 夫婦で意見が違う
- もっと良い物件がある気がする
私は住宅営業として多くのお客様を見てきましたが、実は「物件が原因ではない」ケースも少なくありませんでした。
今回は、営業をしていた頃に感じたことと、今の自分自身の家探しを重ねながら、「決められない人にならないために大事だと思うこと」を書いてみようと思います。
慎重と「決められない」は、似ているようで少し違う
住宅は何千万円という買い物です。
簡単に決められないのは当然ですし、慎重に比較検討することはとても大切だと思っています。
私も住宅を買う側になった今は、「あの頃のお客様はこんな気持ちだったんだ」と思うことがたくさんあります。
だから、「もっと早く決めればよかったのに」とは思いません。
でも一方で、住宅営業をしていた頃に印象に残っているご家族がいました。
5年間、家を探し続けていたご家族

お子様が2人いる4人家族でした。
私が勤めていた会社の新築マンションだけでも、5年ほどの間に4件見学に来てくださいました。
もちろん、それ以外にも他社の新築マンションや中古マンション、戸建ても見学されていて、全部合わせると30件ほどは見ていたと思います。
比較検討すること自体は、もちろん悪いことではありません。
でも、そのご家族は少しずつ「比較すること」が目的になってしまっているようにも見えました。
このマンションは駅まで5分なのがいいけど、間取りが気になる。
こっちは収納が多いけど、管理費が少し高い。
設備はあっちの方が好き。
価格ならこっちかな。
毎回、気になるポイントが変わるんです。
もちろん、どれも間違った視点ではありません。
住宅は条件が多い買い物です。
- 駅からの距離。
- 学校までの距離。
- スーパーの近さ。
- 駐車場。
- 価格。
- 管理費。
- 設備。
- 売主。
- 将来売ることも考えるのか。
- 中古なのか、新築なのか。
- 戸建てなのか、マンションなのか。
比較しようと思えば、いくらでも比較できます。
だからこそ、条件が増えるほど決めることは難しくなります。
私が気になっていたのは、ご主人の様子でした
見学を重ねるうちに、もう一つ気になっていたことがありました。
ご主人が、だんだん家探しに参加しなくなっていたんです。
モデルルームを歩いていても、あまり話を聞いていない。
質問もほとんどしない。
奥様が一生懸命メモを取っている横で、少し離れた場所に立っていることもありました。
そして、奥様が「どう思う?」と聞くと、
好きにしたらいいよ。
そんな返事をすることもありました。
もちろん、本当の事情は分かりません。
仕事で疲れていたのかもしれませんし、もともと口数が少ない方だったのかもしれません。
でも私は、その様子を見ながら少し心配になりました。
家探しは、思っている以上に体力を使います。
休日が見学で終わることもあります。
資料も増えます。
夫婦で意見がぶつかることもあります。
だから私は、「決めること」だけではなく、「決められない状態が長く続くこと」も大きな負担になると感じています。
決めない間にも、時間は進んでいく

そのご家族が家探しを始めた頃は、
「子ども部屋が欲しい。」
というのがきっかけだったと記憶しています。
でも、何年も比較を続けるうちに、お子さんはどんどん成長していきました。
「小学校に入るまでには。」
そう話していたはずが、気づけばもう小学生。
転校を考えると、今度は学区も条件に入ってきます。
家賃も払い続けています。
今の家に少し不満があって探し始めたはずなのに、その生活も続いています。
他にも、その間に建築費は上がり、住宅価格も変わり、金利のニュースも気になるようになることもあります。
「あの頃はもっと安かった。」
そんな気持ちも加わって、ますます決めにくくなってしまう。
もちろん、未来の価格なんて誰にも分かりません。
だから「早く買った方がいい」と言いたいわけではありません。
ただ私は、住宅購入を考えるときは、お金だけではなく時間も大切なコストなんだと思っています。
「買わない理由」を探している状態になっていないか
私は住宅営業をしていた頃、「この物件は違う」という言葉を何度も聞いてきました。
もちろん、本当に違うこともあります。
でも中には、「違う理由」を探しているように見えることもありました。
駅まで5分だけど、間取りが気になる。
駐車場はいいけど、スーパーが少し遠い。
住宅は条件が多い買い物だから、気になるところがあるのは当たり前です。
むしろ、何も気にならない方が珍しいかもしれません。
でも、もし何年も同じように迷い続けているなら、一度立ち止まって考えてみてもいいのかなと思います。
私は今、「この物件の欠点」ではなく、「私は何が怖いんだろう」と考えることの方が大事なんじゃないかと思っています。
不安の正体は、物件ではないこともある
住宅購入が進まない理由は、人それぞれです。
住宅ローンが不安なのかもしれません。
転勤の可能性が気になるのかもしれません。
実家との距離なのかもしれません。
子どもの学校なのかもしれません。
「今じゃない気がする」という漠然とした気持ちかもしれません。
もしそうなら、いくら物件を見ても答えは出ません。
物件を比較する前に、自分たちが何を不安に思っているのかを言葉にする方が、結果的に近道になることもあります。
私は住宅探しって、「物件を探す作業」でもありますが、「自分たちの価値観を整理する作業」でもあると思っています。
我が家も、先に「手放せる条件」を決めました

我が家も2029年頃の入居を目標に家づくりを考えています。
まだ契約した土地もありませんし、住宅会社も決まっていません。
それでも、夫とは何度も話しました。
駅が近い方が便利だよね。
でも、その分高くなるよね。
毎日電車に乗る生活でもないし、そこは手放してもいいかも。
そんな会話を何度もしています。
私たちは、駅近という条件は優先順位を下げることにしました。
もちろん、不便すぎる場所に住みたいわけではありません。
でも、「駅徒歩10分」は求めない。
そう決めるだけで、比較する物件がぐっと絞られてきます。
逆に大事にしたいのは、子どもたちの部屋がつくれること。
そして、今考えているのは半平屋の暮らしです。
駅近を優先した方が合うご家庭もたくさんあります。
でも、自分たちが何を優先して、何を手放すのか。
それが決まると、物件探しは少しだけシンプルになります。
家探しは、「選ぶ力」より「決める軸」が大事なのかもしれない

住宅を探していると、本当にたくさんの情報が入ってきます。
SNSでは素敵な家が流れてきます。
住宅会社のホームページを見ると、「これもいいな」と思います。
中古住宅を見れば価格に惹かれることもあります。
新築マンションを見ると設備の良さに憧れます。
戸建てを見ると庭もいいなと思います。
私も元住宅営業ですが、「全部いいな」と思います。
だからこそ、情報を増やすことよりも、「自分たちは何を大事にしたいのか」を決める方が難しいのかもしれません。
そして、それが決まると、不思議と「これは違う」という理由ではなく、「これは我が家には合っている」という視点で物件を見られるようになる気がしています。
まとめ|住宅購入で一番先に決めたいのは、物件ではない
住宅購入で決められないと、「もっと物件を見た方がいいのかな」と思うことがあります。
もちろん、それで納得できることもあります。
でも、もし何年も同じところで立ち止まっているなら、一度物件から離れて考えてみるのも一つの方法です。
「なぜ家を買いたいんだろう。」
「今、一番困っていることは何だろう。」
「何なら手放せるんだろう。」
そんなことを夫婦で話してみる。
それだけでも、次に見る物件は少し違って見えるかもしれません。
家探しは、100点の家を探すことではなく、自分たちが何を大切にして、何を手放せるのか決めること。
その軸が決まれば、物件選びは少しずつシンプルになります。
だから今日も、我が家は「どんな家が欲しいか」より、「どんな暮らしがしたいか」を話しながら、少しずつ前に進んでいます。


