住宅購入を考え始めると、意外と最初に気になるのが「頭金はいくら入れるのが普通なんだろう?」ということではないでしょうか。
ネットで調べると、「頭金は2割必要」「フルローンでも問題ない」など、いろいろな情報が出てきます。
正直、どれを信じたらいいのか分からなくなりますよね。
実は、住宅営業をしていた頃、お客様から多く聞かれた質問もこれでした。
頭金って、みんなどれくらい入れているんですか?
当時は何百組ものご家族と住宅購入の相談をしてきましたが、私はこの質問に対して、「〇〇万円くらいです」と金額だけをお伝えすることはほとんどありませんでした。
それは、頭金は「いくら入れるか」よりも、「どんな順番で考えるか」のほうがずっと大切だと思っていたからです。
そして2029年に自分自身が家を買おうとしている今も、その考えは変わっていません。
今日は、私が住宅営業時代からずっと大切にしている「頭金を考える順番」について書いてみようと思います。
「頭金2割」は本当?実際のお客様はどうだったのか

私が住宅営業をしていた頃、「頭金は2割必要って聞いたんですが…」というお客様は少なくありませんでした。
親御さんから言われたという方も多かったですし、本や雑誌で見たという方もいました。
でも実際には、そこまで頭金を入れる方は、それほど多くありませんでした。
フルローンを選ぶ方もいましたし、100万円、300万円くらいを頭金として用意される方もいました。
だから私は、「みんなこれくらい入れていますよ」とお伝えすることが難しいなと感じていました。
というのも、同じ年収でも、貯蓄額も違えば、お子さんの人数も違います。
転勤の可能性があるご家庭もあれば、教育費をこれから多く準備したいご家庭もあります。
家族ごとに状況が違うのに、「平均は〇万円です」と伝えてしまうと、その数字だけが独り歩きしてしまう気がしていました。
だから私は、頭金の金額を考える前に、必ず確認していたことがありました。
私が最初に考えてほしかったのは「諸費用」です
住宅購入では、家の価格だけを見てしまいがちです。
でも実際には、住宅価格以外にもたくさんのお金がかかります。
例えば、
- 登記費用
- 火災保険
- 住宅ローンの諸費用
- 仲介手数料(中古住宅など)
- 印紙代 など
こうした費用は、住宅会社や金融機関から最初に資金計画書として説明されることが多いです。
でも、その金額を見て驚かれる方は本当に多かった印象があります。
家以外にも、こんなにかかるんですか?
そんな反応を何度も見てきました。
もちろん、金融機関によっては諸費用も住宅ローンに組み込める場合があります。
それ自体は悪いことではありません。
ただ、諸費用までローンにすると、金利が上乗せになるケースもあります。
35年前後という長い住宅ローンで考えると、その差は思っている以上に大きくなることがあります。
だから私は、まずは「諸費用は現金で払えそうですか?」というところから一緒に考えていました。
頭金をいくら入れるかより、そのほうが先だと思っていたからです。
家を買ったら終わりではない。引っ越し前後にも大きなお金が動く

諸費用を準備できそう。
では、その次です。
意外と見落としがちなのが、家に住み始めるまでのお金です。
- 引っ越し代。
- 家具。
- 家電。
- カーテン。
- 照明。
- オプション工事。
一つひとつは数十万円でも、積み重なると100万円、200万円になることも珍しくありません。
私も住宅営業時代、「家の資金計画」はしっかり考えていたのに、引っ越し後の出費で思った以上にお金が減ってしまったというご家庭を見てきました。
だから私は、頭金を考える前に、
新生活を始めるためのお金は大丈夫ですか?
ということも確認するようにしていました。
家は契約したら終わりではありません。
むしろ、本当の暮らしはそこから始まります。
そのスタートで「思ったよりお金がなくなってしまった」と感じるよりも、少し余裕を持って新生活を迎えられるほうが、私は安心できると思っていました。
手元に残すお金も、頭金を考えるうえで大切だと思う

諸費用を準備する。
引っ越しや家具・家電のお金も考える。
その次に私が一緒に考えていたのが、「手元にどれくらいお金を残しておくか」でした。
一般的には、生活防衛資金は3〜6か月分と言われることが多いですよね。
もちろん、それも一つの考え方だと思います。
でも、私は子育て世代のご家庭なら、もう少し余裕があってもいいのではないかと思っています。

もし私自身が今家を買うなら、できれば1年分くらいの生活費は手元に残しておきたいです。
これはFPだからというより、40歳で子育てをしている今の私の感覚です。
子どもが小さいと急な休職や医療費など、予想外の支出が重なることもあります。
「何かあっても大丈夫」と思えるお金があるだけで、気持ちの余裕はずいぶん違うと感じています。
だから私は、頭金は「できるだけ多く入れるもの」ではなく、「暮らしを安心してスタートするために決めるもの」だと思っています。
頭金を減らすことを提案したご家族がいました

今でも印象に残っているご家族がいます。
40代のご夫婦と、お子さんが2人の4人家族でした。
そのご家族は、とても堅実な方でした。
家賃も抑えながらコツコツ貯金を続け、住宅購入のための資金もしっかり準備されていました。
数字だけ見れば、「頭金をたくさん入れても大丈夫」と言える状況だったと思います。
でも、お話をしていると、不安そうな表情が何度も見えました。
貯金が一気に減るのが怖いんです。
今より毎月の支払いが増えるのも少し不安で…。
その気持ちは、とてもよく分かりました。
住宅購入は人生で一番大きな買い物と言われます。
数字の上では問題なくても、気持ちが追いつかないことだってあります。
そこで私が提案したのは、頭金を少し減らすことでした。
〇〇様のご家庭でしたら、今の貯蓄額を考えると、このくらい手元に残れば一般的には十分安心できる金額だと思います。
でも、不安なまま頭金をたくさん入れる必要はないと思います。
まずは少なめの頭金で新生活を始めてみませんか。
毎月の返済をしながら、『思ったより大丈夫そうだな』と思えたら、そのときに繰り上げ返済という方法もありますよ。
そうお話ししました。
この提案をすると、ご夫婦の表情が少し和らいだのを今でも覚えています。
住宅ローンは、借りるときだけで終わりではありません。
借りたあとにも、選択肢は残っています。
だから最初から「全部決め切らなきゃ」と思わなくてもいい場合もあるんです。
実は、2029年に家を買う私もまだ答えは出ていません

ここまで読んでくださった方は、「じゃあ、あなたは頭金をいくら入れるの?」と思われるかもしれません。
実は、まだ決めていません。
2029年に住宅を購入したいと思っていますが、頭金をいくら入れるかは、今も夫婦で話しながら考えているところです。
正直に言うと、迷っています。
投資を続けたほうがいいのか。
住宅ローンを少しでも減らしたほうがいいのか。
最近は金利も少しずつ変わってきていますし、数年前とは状況も違います。
だから、「これが正解」と言い切ることは私にもできません。
今の私の迷いは別の記事でも詳しく書いてみたのでよかったら見てみてください。

ただ、一つだけ変わらないことがあります。
それは、頭金の金額から考えないことです。
まずは諸費用。
次に、引っ越しや家具・家電。
そして、安心して暮らせるだけの手元資金。
そこまで考えて、それでも余裕があるなら頭金をどうするか考える。
住宅営業だった頃、お客様と一緒に考えていた順番は、自分が家を買う立場になった今も変わっていません。
まとめ|住宅購入の頭金は「いくら」より「どんな順番で考えるか」
住宅購入の頭金はいくら入れるべきですか?
この質問に対して、私は今でも一つの金額を答えることはできません。
100万円が合うご家庭もあれば、500万円が安心できるご家庭もあります。
フルローンという選択が合う方もいるでしょう。
だから私は、「みんながいくら入れているか」よりも、「自分たちが安心して新生活を始められるか」を大切にしてほしいと思っています。
頭金は、たくさん入れることが目的ではありません。
家を買ったあとも、自分たちらしい暮らしを続けるためのお金の配分を考えること。
私は、その視点のほうがずっと大切だと思っています。

