元住宅営業の私が、お客様の希望をそのまま受け入れなかった理由|家ではなく「暮らし」を提案したかった

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3LDKがいいです。

できるだけ広い部屋が希望です。

オプションもいろいろ付けたいです。

住宅営業をしていた頃、こんな希望を聞くことは珍しくありませんでした。

もちろん、お客様が希望される条件に合う住まいを提案するのも営業の仕事です。

でも私は、希望を聞くと、必ずと言っていいほど最初に聞く質問がありました。

「どうして、そう思われたんですか?」

住宅営業なのに、少し変わっていたかもしれません。

私は「何が欲しいか」よりも、「なぜそう思ったのか」を知りたかったんです。

それは、お客様を説得したかったからではありません。

家は何千万円もする買い物です。

だからこそ、その希望が本当にそのご家族の暮らしに合っているのか、一緒に考えたかったんです。

今振り返ると、私が提案したかったのは家そのものではなく、その先の暮らしだったのかもしれません

目次

私が知りたかったのは「希望」だけではなく、その理由

例えば、「3LDKがいいです。」と言われたとします。

普通なら、その条件に合う物件をご案内すると思います。

でも私は、その前にこんな会話をしていました。

どうして3LDKがいいと思われたんですか?

すると、多くの方が、

子ども部屋が必要だからです。

と答えられます。

ここで私は、さらに質問を重ねていました。

お子さんは今、おいくつですか?

子ども部屋を使うのは、何歳くらいからをイメージされていますか?

高校卒業まで住むとすると、どんな暮らしになりそうですか?

物件の説明ではなく、質問ばかりする営業だったので、少し不思議に思われていたかもしれません。

でも、この会話をすると、お客様自身が考え始められることが多かったんです。

「3LDKが必要」ではなく、「子ども部屋が必要」だった

今でも印象に残っているご家族がいます。

お子さんは2人。お子さんの年齢差が10歳以上ありました。

ご希望は3LDK以上。

一方で、「できれば毎月の支払いは抑えたい」ともおっしゃっていました。

私は資金計画を見ながら、正直に思いました。

このまま3LDKを購入すると、家計はかなり大変になる。

もちろん、購入できない金額ではありません。

でも、毎月の支払いには余裕がなくなる可能性が高いと感じました。

そこで私は聞きました。

子ども部屋は、いつ頃まで必要だと思われていますか?

ご夫婦は少し考えて、

高校生くらいまでですかね。

と答えられました。

そこで一緒に年齢を整理してみると、上のお子さんが子ども部屋を使う頃には、下のお子さんはまだ小さい。

逆に下のお子さんが本格的に使う頃には、上のお子さんは進学や就職で家を出ているかもしれない。

私は、

もしかすると、お子さん2人が同時に子ども部屋を必要とする期間は、意外と短いかもしれませんね。

とお伝えしました。

だからといって、「2LDKにしましょう。」と言いたかったわけではありません。

中古という選択肢もあります。

エリアを少し広げる方法もあります。

3LDKを選ぶという結論もあります。

私がお伝えしたかったのは、

「3LDKが必要」という前提を、一度だけ一緒に考えてみませんか。

ということでした。

「安心だから広い部屋がいい」という言葉の奥にも理由がある

また別のお客様は、

来客用にも使える部屋があると安心ですよね。

収納も増えるし、やっぱり一部屋多い方がいいかな。

とおっしゃっていました。

私も広い家は魅力的だと思います。

でも、その物件は価格差が約600万円ありました。

私はこんな質問をしました。

来客は、年にどれくらいありそうですか?

泊まっていただく際、マンションではなく、ホテルという選択はどう思いますか?

600万円の支払いの納得感はありますか?

もちろん、600万円を払う価値があると思えば、それは立派な理由です。

正解はありません。

でも、「なんとなく一部屋あった方が安心だから」という理由だったら、一度立ち止まって考えてみる価値はあると思っていました。

実際、この質問をすると、

そこまで考えたことはありませんでした。

とおっしゃる方が少なくありませんでした。

私は、お客様の希望を変えたかったわけではありません。

ただ、ご本人の中でもまだ言葉になっていない理由を、一緒に整理したかったんです。

オプション選びでも、同じことを考えていました

この考え方は、間取りだけではありませんでした。

マンションのオプションを決めるときも同じです。

モデルルームは本当によくできています。

間接照明やアクセントクロス、食器棚やエコカラット。

見ていると、「せっかく買うなら、これも付けたい。」という気持ちになります。

実際、そうおっしゃるお客様もたくさんいました。

でも、あるご家族は転勤の可能性があり、将来的には賃貸に出したり、売却したりすることも考えていました。

だから私は、こんなお話をしました。

もちろん、ご自身が気に入ったものを選ぶことは大切です。

ただ、将来貸したり売ったりすることを考えると、少し個性が強い仕様は好みが分かれることもありますがどう思いますか?

家具や家電で雰囲気を変えるという方法もありますよ。

オプションを付けない方がいい、と言いたかったわけではありません。

本当にそのご家族が大切にしたいものは何なのか。

そのためにお金を使うなら、私は応援したいと思っていました。

だからこそ、「何となく付ける」という選択だけは、一緒に立ち止まって考えたかったんです。

「もっと広い家にしておけばよかった」という後悔もある

一方で、反対の提案をしたこともあります。

とても堅実なご家族でした。

共働きで、お子さんは3人。

奥様は育休中でした。

通勤しやすい立地を最優先にしながらも、予算はしっかり抑えたい。

頭金もあり、年収から見ても無理のない資金計画でした。

それでも、ご夫婦は住宅ローンを組むことにとても慎重でした。

私はどちらかというと、「無理のない資金計画」をおすすめすることが多い営業でした。

だからこそ、このときは珍しく、こんなお話をしました。

支払っていけるかを考えることは、とても大切です。

でも、将来『もう少し広い家にしておけばよかった』という後悔もあるかもしれません。

どちらの後悔の方が、ご家族にとって大きそうでしょうか。

今でも、この会話はよく覚えています。

私は広い部屋を売りたかったわけではありません。

そのご家族の話を聞いていると、私には「広さを我慢する後悔」の方が大きくなりそうに感じたからです。

そのご家族にとっては、その提案の方が自然だと思いました。

売上よりも、「この選択でよかった」と思ってほしかった

もちろん、営業には目標があります。

「この部屋を販売する。」

「今月は何件契約する。」

そういう数字を追うことも仕事の一つでした。

だから、希望と違う提案をするのは、少し勇気がいることでもありました。

正直に言うと、「そのまま希望通りの部屋を案内した方が早いのでは。」と思ったこともあります。

それでも私は、その人に合っていないと思う提案だけは、自分の中でどうしてもできませんでした。

もし契約できたとしても、

「あのとき、本当は違う選択肢もあったのに。」

そんな後悔が残るとしたら、私は胸を張って「この家がおすすめです」とは言えませんでした。

私は、お客様が最後に、

「一緒に考えてもらえてよかったです。」

と言ってくださることが、何よりうれしかったんです。

住宅は契約して終わりではありません。

マンションの場合は、契約してから入居まで1年前後あることもあります。

その間に、

「やっぱりやめます。」

という方も実は少なくありません。

仕事や家族の事情など、本当にさまざまな理由があります。

だから、キャンセルが悪いという話ではありません。

住宅営業時代、たくさんのご家族の契約を担当しましたが、私は、契約後にキャンセルになったケースは一度もありませんでした。

今振り返ると、キャンセルがなかったのは、契約する前に、お客様自身が納得できるまで一緒に考える時間を大切にしていたからなのかもしれません。 

あの頃も今も、私がやりたいことは変わっていない

転職して住宅営業を離れた今も、お金や暮らしについて考えることは好きです。

このブログでも、住宅ローンやNISA、教育費、働き方について書いています。

でも、私は「これが正解です。」と言いたいわけではありません。

たぶん、住宅営業をしていた頃と変わっていないんです。

家を買う理由。

投資を始める理由。

転職を考える理由。

その人が本当に大切にしたいものは何なのか。

そこが見えてくると、選択肢も少し変わることがあります。

だから、このブログも「答え」を書く場所ではなく、「私はなぜそう選んだのか」を記録する場所にしたいと思っています。

読んでくださった方が、

「私は、どうしたいんだろう。」

そんなふうに、自分自身の暮らしを考えるきっかけになったら、とてもうれしいです。

まとめ|希望を聞くより、その理由を一緒に考えたかった

住宅営業だった頃、私は希望条件をそのまま受け入れることよりも、その希望が生まれた理由を知ることを大切にしていました。

「3LDKがいい。」

「オプションをたくさん付けたい。」

「できるだけ安くしたい。」

どれも間違いではありません。

でも、その理由を一緒に整理していくと、「本当に大切にしたいこと」が見えてくることがあります。

家は、買うことがゴールではありません。

その家で、どんな暮らしをしたいのか。

私は、その答えをお客様と一緒に考える時間が好きでした。

そして、その時間があったからこそ、自信を持って提案することができました。

今、このブログで書いていることも、きっと同じです。

私の選択が、誰かの正解になるとは思っていません。

ただ、「こういう考え方もあるんだな」と思っていただけたら、それだけで十分です。

家を選ぶときも、お金の使い方を考えるときも、自分の希望を一度言葉にして、その理由まで考えてみる。

その時間は、きっとこれからの暮らしを支えてくれるのではないかと、私は思っています。

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この記事を書いた人

元住宅営業の在宅マーケター
40歳・2児の母。社会人18年目。
元住宅営業、現在はマーケティングの仕事をしています。
時短勤務で手取り17万円。住宅・教育費・働き方・老後のことに悩みながらも、自分らしいお金の使い方を考えています。
正解がひとつではないからこそ、私は何に悩み、なぜその選択をしたのかを書いています。
保有資格:FP・宅地建物取引士

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