「子どもが2人いるなら、やっぱり3LDKは必要かな。」
住宅購入を考え始めると、一度はそう思う方が多いのではないでしょうか。
実際、住宅営業をしていた頃も、「3LDKを希望しています」というお客様はとても多くいらっしゃいました。
でも私は、その言葉を聞くと、ほとんど毎回こんな質問をしていました。
「なぜ3LDKがいいと思われたんですか?」
もちろん、3LDKが悪いと言いたかったわけではありません。
むしろ、3LDKがぴったりなご家族もたくさんいました。
ただ、何千万円もする買い物だからこそ、「何となく3LDK」ではなく、「自分たちにとって本当に必要なのか」を一度だけ考えてみてほしかったんです。
今回は、元住宅営業だった私が、どうしてこの質問を大切にしていたのかを書いてみたいと思います。
子どもがいるなら3LDKを選ぶのは、とても自然なこと

まず最初にお伝えしたいのは、私は3LDKを否定したいわけではありません。
子どもが2人いるご家庭なら、「子ども部屋を2つ用意したい」と考えるのは、ごく自然なことだと思います。
実際、私自身も2人の子どもを育てています。
だから、「できれば一人一部屋あげたいな。」と思う気持ちはよく分かります。
住宅営業をしていた頃も、
「子ども部屋が必要だから3LDKがいいです。」
というご相談は、本当にたくさんありました。
むしろ、ファミリー向けマンションでは一番多かった希望条件かもしれません。
だから私は、
「そうですよね。」
で終わらせることもできました。
でも、そこで話を終えることはほとんどありませんでした。
「3LDKが必要です」の前に、必ず理由を聞いていました

私が住宅営業をしていた頃、少し変わっていたのかもしれませんが、希望条件をそのまま受け取ることはほとんどありませんでした。
マンションがいいです。
と言われたら、
どうしてマンションがいいと思われたんですか?
駅から近い方がいいです。
と言われたら、
通勤ですか?お子さんの学校ですか?それとも資産価値でしょうか?
そんなふうに、一歩だけ踏み込んで聞いていました。
もちろん、お客様を困らせたかったわけではありません。
理由はとてもシンプルです。
その背景が分からないと、本当に合う提案ができないと思っていたからです。
例えば、「駅近がいい」というご希望でも、
通勤時間を短くしたい人と、
車を持たない予定の人と、
資産価値を重視している人では、
同じ「駅近」でも、おすすめする物件は少し変わってきます。
3LDKも同じでした。
3LDKがいいです。
と言われたら、私はまず、
なぜ3LDKがいいと思われたんですか?
と聞いていました。
すると、一番多かった答えは、
子ども部屋が必要だから。
でした。
お子さんは今、おいくつですか?
子ども部屋は何歳くらいから使うイメージですか?
高校卒業まで住むとしたら、どんな暮らしになりそうですか?
そんな今の話や未来の話をしていると、お客様自身も、
「私、こんなことを考えてたんだな」
と気づかれていることも多くありました。
ご夫婦の中でも何となく決めていたことを、一緒に言葉にして整理したかったんです。
「子ども部屋が必要」だからといって、3LDKしかないとは限らない
今でも印象に残っているご家族がいます。
お子さんは2人。
ご夫婦の希望は、3LDKか4LDKでした。
理由を聞くと、やはり、
「子ども部屋をそれぞれ作ってあげたい。」
というお気持ちでした。
一方で、
「できれば毎月の支払いは抑えたい。」
というご希望もありました。
資金計画を見ながら、私は正直少し悩みました。
購入できない金額ではありません。
でも、このまま希望通りの広さを選ぶと、毎月の返済はかなり重くなりそうでした。
そこで、お子さんの年齢を聞いてみました。
すると、上のお子さんと下のお子さんは10歳以上離れていました。
私はご夫婦にこんなお話をしました。
子ども部屋は、高校卒業くらいまで使うイメージですか?
そうですね。
では、一緒に考えてみてもいいですか。
年齢を書き出してみると、上のお子さんが高校生になる頃、下のお子さんはまだ小学生にもなっていません。
逆に、下のお子さんが本格的に子ども部屋を使う頃には、上のお子さんは進学や就職で家を出ている可能性があります。
私はその表を見ながら、
もしかすると、お二人が同時に子ども部屋を必要とする期間は、意外と短いかもしれませんね。
とお伝えしました。
だから2LDKをおすすめしたかったわけではありません。
中古マンションという選択肢もあります。
エリアを少し広げる方法もあります。
もちろん、3LDKという結論でもいいと思っています。
私がお伝えしたかったのは、
「子ども部屋が必要。」
という理由と、
「だから3LDK。」
の間には、実はいろいろな選択肢があるかもしれない、ということでした。
「子ども部屋が必要」という願いは変えなくても、その願いをかなえる方法は一つではありません。
私は、そのご家族にとって一番納得できる方法を、一緒に探したいと思っていました。
「来客用に1部屋あると安心」は、600万円の価値がありますか?

また別のお客様は、こんな理由で3LDKを希望されていました。
来客用にも使える部屋があると安心ですよね。
収納も増えるし、一部屋多い方が何かと便利かなと思って。
その気持ちも、とてもよく分かります。
実際、部屋は広い方が使い道は増えます。
来客用にしたり、荷物を置いたり、将来テレワーク用の部屋にしたり。
「一部屋余るくらいがちょうどいい。」という考え方もあると思います。
でも、その物件は2LDKと3LDKで約600万円の価格差がありました。
私はそこで、こんな質問をしました。
来客は、年にどれくらい来られそうですか?
泊まることが多いですか?
もし年に数回だったら、ホテルという選択肢はどう思われますか?
もちろん、「それでも3LDKがいいです。」という答えなら、それは立派な理由です。
600万円を払ってでも、その安心感が欲しい。
そう思えるなら、その価値は十分あると思います。
でも、「なんとなく一部屋あった方が安心だから」という理由なら、一度だけ立ち止まって考えてみてもいいのではないか。
私はそう思っていました。
家は何千万円もする買い物です。
だから私は、「3LDKは必要ですか?」ではなく、
「その一部屋に600万円を払う理由は何ですか?」
ということを、一緒に考えていました。
そうすると、
「そこまで考えたことはありませんでした。」
とおっしゃる方も少なくありませんでした。
私が変えたかったのは、お客様の希望ではありません。
その希望の理由を、ご本人にも言葉にしてもらうことでした。
でも、私は「もう少し広い家も考えてみませんか」と提案したこともあります
ここまで読むと、
この営業さんは、狭い家ばかりすすめていたのかな。と思われるかもしれません。
でも、反対の提案をすることもあります。
今でも印象に残っているご家族です。
共働きで、お子さんは3人。
奥様は育休中でした。
ご夫婦ともにとても堅実で、
「通勤しやすい立地は譲れない。」
「でも、住宅ローンはできるだけ抑えたい。」
という考えをお持ちでした。
頭金もありましたし、年収から見ても無理のない資金計画でした。
それでも、ご夫婦は住宅ローンを組むこと自体に慎重でした。
私はどちらかというと、無理のない返済計画をおすすめすることが多い営業でした。
だから、このときは自分でも少し意外だったのですが、こんなお話をしました。
支払っていけるかを考えることは、とても大切です。
でも、将来『もう少し広い家にしておけばよかった』という後悔もあるかもしれません。
ご家族にとっては、どちらの後悔の方が大きそうでしょうか。
ご夫婦はハッとされた顔をされたことがとても印象に残っています。
私は広い部屋を売りたかったわけではありません。
そのご家族のお話を聞いていると、私には「広さを我慢する後悔」の方が大きくなりそうに感じたんです。
だから、そのご家族には少し広い住まいも候補に入れてみることをおすすめしました。
結局、ご夫婦はその提案を受け入れてくださり、ご契約いただきました。
住宅営業をしていた頃、私は「返済できるか」というリスクだけではなく、「暮らしてから後悔するリスク」も同じくらい大切だと思っていました。
だから、3LDKをおすすめすることもあれば、2LDKという選択肢を一緒に考えることもありました。
3LDKが必要かどうかは、ご家族によって違う

私は住宅営業だった頃、たくさんのご家族の住宅購入に携わりました。
でも、「子どもが2人だから3LDKが正解」というご家族は、一組もいませんでした。
年齢差。
働き方。
通勤時間。
教育費。
実家との距離。
将来住み替える予定があるのか。
それぞれ違うからです。
だから私は、「3LDKが必要ですか?」という質問には、今でも答えを一つに決められません。
必要なご家族もいます。
2LDKでも十分だったご家族もいました。そして4LDKの方もいました。
その違いは、間取りではなく、その家でどんな暮らしをしたいかだったように思います。
まとめ|3LDKを選ぶ前に、「なぜ必要なのか」を一度だけ考えてみる
3LDKは必要ですか?
そう聞かれたら、私は今でも、
ご家族によります。
と答えると思います。
少し曖昧な答えに聞こえるかもしれません。
でも、住宅営業をしていた頃、本当にそう感じていました。
子ども部屋が必要だから。
来客用に一部屋あると安心だから。
収納が多い方が便利だから。
どれも間違いではありません。
ただ、その理由をもう一歩だけ深掘りすると、「実は別の方法もあるかもしれない」と気付くことがあります。
もちろん、その結果「やっぱり3LDKがいい」という結論になってもいいんです。
私は、その結論を変えたかったわけではありません。
ただ、「私たち家族には3LDKが合っている。」と思って選べたら、その住まいはきっともっと納得感のあるものになると思います。
家は、何千万円もする買い物です。
だからこそ、間取りを選ぶ前に、一度だけこんな質問をしてみてください。
「私たちは、なぜ3LDKが必要なんだろう。」
その答えが見つかれば、3LDKを選ぶという決断にも、2LDKや別の選択肢を選ぶという決断にも、自分たちらしい理由が生まれるはずです。
私は、その「理由」があることこそ、後悔の少ない住宅購入につながるのではないかと思っています。



