「分譲マンションって、上下階の音はどれくらい聞こえるんですか?」
住宅営業をしていた頃、この質問は本当によくいただきました。
でも実際にお話を聞いてみると、気にされていたのは「上の階の人がうるさかったらどうしよう」ということよりも、
「小さい子どもがいるので、うちが迷惑をかけませんか?」
という相談のほうが圧倒的に多かったんです。
私自身、今は1歳と4歳の子どもを育てています。
子どもに「静かにして!」と何度も怒る生活は、お互いにしんどいですよね。
だから、その気持ちはとてもよく分かります。
一方で、SNSを見ると「マンションの騒音で後悔した」「足音がつらい」という投稿を見かけることもあります。
テレビで取り上げられることもありますし、不安になる方も多いと思います。
では、実際のところ分譲マンションの騒音はどれくらい聞こえるのでしょうか。
今日は、住宅営業時代に実際に体験した「音の実験」の話と、今の私が思うことを書いてみようと思います。
分譲マンションは賃貸より音が聞こえにくいことが多い。でも「絶対」ではない

まず前提として、一般的な分譲マンションは賃貸マンションよりも遮音性が高いことが多いです。
構造やコンクリートの厚さ、床のつくりなどが違うため、生活音が伝わりにくくなるように考えられています。
だからといって、「分譲マンションなら騒音は気になりません。」とは、私は言えません。
建物によっても違いますし、音の感じ方は人によって本当に違います。
同じ音でも、「全然気にならない」という人もいれば、「かなり気になる」という人もいます。
住宅営業をしていた頃、この質問を受けるたびに「絶対大丈夫です」と言えない難しさを感じていました。
新入社員研修で体験した「音の実験」
今でも印象に残っている研修があります。
完成した分譲マンションで、実際に音がどれくらい聞こえるのか体験する研修でした。
私は部屋の中に残り、同期が上の階や隣の部屋へ行きます。
携帯電話で連絡を取りながら、
今から歩くよ。
次は走るね。
ジャンプしてみるよ。
そんなふうに一つずつ試していきました。
まず驚いたのは、隣の部屋です。
普通に歩いたり話したりする音は、私はほとんど聞こえませんでした。
ただ、窓を開けると話し声は聞こえますし、ベランダへ出ればもちろん聞こえます。建物の壁というより、窓や外を通して音が伝わる印象でした。
次に上下階です。
歩く音は、私にはほとんど分かりませんでした。
走る音も、それほど気になりません。
ジャンプをすると、「あ、今ジャンプしたかな」となんとなく分かるくらいには聞こえました。
ただ、この実験は家具が何もない部屋です。カーテンもなく、人も住んでいません。
生活が始まれば、ソファやカーテン、ラグなどが入ります。テレビがついている家庭も多いでしょう。
そう考えると、実際の暮らしではもう少し音はやわらぐのではないか、と当時の私は感じました。
もちろん、これは私が体験した一つのマンションでの話です。
すべての分譲マンションに当てはまるわけではありません。
小さなお子さんがいる家庭ほど「自分が出す音」を気にしていた
住宅営業をしていて印象的だったことがあります。
それは、小さなお子さんがいるご家庭ほど、
上の階がうるさいですか?
ではなく、
うちの子が走ったらどうしよう…
という相談が多かったことです。
子どもは元気に走ります。ジャンプをすることもあるでしょう。毎日「静かに!」と言い続けるのも現実的ではありません。
私も今、子育てをしているので、その大変さはよく分かります。
だから私は、必要以上に神経質になる必要はないと思っています。
一方で、「何もしなくていい」とも思っていません。
ラグを敷いたり、防音マットを使ったり。夜遅い時間は意識したり。
できる範囲で工夫しながら生活するくらいが、お互いに気持ちよく暮らせる距離感なのかなと感じています。
私が二重床やスラブ厚より気にしていたこと
分譲マンションの騒音について調べると、
「二重床」
「スラブ厚」
という言葉をよく見かけます。
もちろん、どちらも住宅性能を見る上で大切なポイントです。
でも、私が営業をしていた頃に意外と気にしていたのは、もう一つありました。
それは、上下階の間取りです。
分譲マンションは、基本的に同じ間取りが積み重なっています。
つまり、リビングの上はリビング。寝室の上は寝室。ということが多いです。
ここで少し考えてみてください。
もし子どもが元気に遊ぶ音が聞こえるとして、リビングで聞こえるのと、寝室で聞こえるのでは、どちらが気になりますか。
私は寝室のほうが気になる方が多いのではないかと思っています。
だから、お子さんが遊ぶ場所を少し意識するだけでも違うかもしれません。
リビングではラグやマットを敷いて、普段どおり生活する。
一方で、寝室の上下になる場所では少し気を付ける。
そんな考え方も一つの選択肢だと思っています。
もちろん、マンションの構造によっては、真上だけでなく斜め上の部屋の音が響いてくるようなケースもあります。音の伝わり方に「絶対こうなる」という法則はありません。
それでも、まずは自分たちの家の中で「ここは静かに過ごしたい場所」「ここは元気に遊ぶ場所」とゾーンを分けて考えてみることは、すぐにできる大切な工夫の一つだと私は思っています。
私が使っているプレイマットはこちらの二つです。防音だけでなく、小さな子どもも安心して遊ばせることができる点が気に入っています。
騒音だけで住宅選びを決める方は少ないと思う

住宅営業をしていた頃、騒音について質問されることは本当に多くありました。
でも、不思議なことに、それだけが理由で購入をやめた方は、私はほとんど見たことがありません。
住宅には、価格や立地、通勤時間、資産価値、管理、間取りなど、考えることがたくさんあります。
騒音も、その中の一つです。
だから私は、「騒音だけ」で住宅を決めるものではないと思っています。
もちろん、気になるなら確認する。モデルルームで質問する。構造を調べる。
それはとても大切です。
でも、それだけで選択肢を狭めなくてもいいのではないかな、と私は思っています。
まとめ|答えは一つではないからこそ、自分たちが大切にしたいことを考えたい

ちなみに、今私は戸建てを検討しています。
でも、それは騒音が理由ではありません。
夫と結婚し、子どもが生まれ、どんな生活をしていきたいか想像できるようになりました。
在宅勤務になったこと。実家に帰る可能性などもなく、購入した家には一生住むつもりでいること。
立地や資産価値よりも、自分たちが暮らしやすいことを優先したくなったこと。
私たち家族の求めることが見えてきたためです。
住宅選びは、本当に正解が一つではありません。
分譲マンションの騒音も、「絶対静か」「絶対うるさい」と言い切れるものではないと思っています。
だからこそ、不安なことを一つずつ確認しながら、自分たちが何を優先したいのかを考えること。
それが、後悔しない住宅選びにつながるのではないかと、私は思っています。



