マンション購入を考え始めると、「長期修繕計画は確認したほうがいい」と聞くことがあります。
でも、何を見ればいいのか分からず、そのまま読み飛ばしてしまう方も少なくありません。
私が元住宅営業として契約前に必ず見てほしいと思うのは、
「修繕積立金が将来どう変わる可能性があるか」
「どんな修繕を想定しているマンションなのか」
が分かるからです。
今回は、営業時代の経験も交えながら、その理由を書いてみます。
私は「買います」と決める前に、この話をするようにしていました

住宅営業をしていた頃、私はお客様が「このマンションにします」と決める前に、長期修繕計画の話をするようにしていました。
営業担当によって説明の仕方はさまざまです。
もちろん丁寧に説明する方もいましたし、資料を渡して終わりというケースもあったと思います。
でも私は、この資料だけは「あとで見てくださいね」では終わらせたくありませんでした。
家は何千万円という買い物です。
契約したあとに、
「そんな話、聞いてなかった。」
そう感じることが一つでも増えると、本当にこの家を選んで良かったのかな、と不安につながってしまうと思っていたからです。
私は宅地建物取引士の資格を持っていたので、他の営業担当のお客様の重要事項説明を担当することもありました。
その中で、修繕積立金の改定予定について説明すると、
え、上がるんですか?
と驚かれる方は少なくありませんでした。
営業担当から説明を受けていなかったのか、それとも聞いていても印象に残っていなかったのかは分かりません。
でも、その反応を見るたびに、「契約前にもう少し時間を取って確認できていたら」と感じていました。
長期修繕計画では修繕積立金の改定予定を確認する

新築マンションを見学すると、毎月の管理費や修繕積立金も案内されます。
でも、その金額が何十年も変わらないとは限りません。
長期修繕計画には、将来の修繕工事を見据えて、修繕積立金を段階的に見直す予定が書かれていることがあります。
もちろん、これはあくまで計画です。
実際には物価や人件費、工事費など、その時代の状況によって変わることもあります。
だから「この通りになる」とは言えません。また、見直されることもあります。
それでも、「将来こんな見直しを想定しているんだな」と知っておくだけで、毎月の住宅費を考える視点は少し変わるように思います。
住宅ローンの返済額だけで家計を考えてしまうと、あとから「思っていたより毎月の負担が増えた」と感じることもあるかもしれません。
だから私は、修繕積立金の改定予定は一度目を通しておきたい項目の一つです。
長期修繕計画で分かる修繕内容と将来の維持管理
長期修繕計画は、難しい専門資料という印象を持つ方も多いと思います。
でも私は、「何が書いてあるか」を眺めるだけでも十分意味があると思っています。
例えば、
- エレベーターの更新。
- 外壁の補修。
- 屋上の防水工事。
- 給排水設備。
- 機械式駐車場の更新。
重要事項説明で「将来的にはエレベーターの交換も計画されています」とお伝えすると、
エレベーターって交換するものなんですね。
と驚かれる方もいました。
普段生活していると、エレベーターや給排水設備を「いつか交換するもの」と考える機会はあまりありません。
でも、マンションは建物全体をみんなで維持していく住まいです。
長期修繕計画を読むと、「こういう設備も計画的に維持していくんだな」ということが少しずつ見えてきます。
私は、ここがマンションの良さの一つでもあると思っています。
もちろん、計画通りに進むとは限りません。
それでも、将来を想定しながら建物全体を維持していこうという考え方が、資料から伝わってくることがあります。
長期修繕計画は何年先まで作られているかも確認したい
私が長期修繕計画を見るとき、修繕積立金の改定予定とあわせて確認したいのが、「どれくらい先まで計画が作られているか」です。
営業時代に見ていた長期修繕計画は、30年程度を想定したものが多かったと記憶しています。
もちろん、30年だから安心、20年だから良くない、という単純な話ではありません。
でも、長い期間を見据えて、どんな修繕を予定しているのかを知ることは、自分たちがこれから住むマンションをイメージするきっかけになります。
私は、細かい工事金額を全部理解しようとは思いません。
「この時期に外壁工事があるんだな。」
「この設備も更新を予定しているんだ。」
そんなふうに全体像をつかむだけでも十分だと思っています。
マンション全体の修繕と、自分の部屋の修繕は別の話

もう一つ、契約前に知っておくと安心だと思うことがあります。
それは、長期修繕計画に書かれているのは、マンション全体の修繕計画だということです。
例えば、
- エレベーター。
- 外壁。
- 屋上。
- 給排水設備。
こうした共用部分は、長期修繕計画に沿って維持・更新されていきます。
一方で、自分の部屋の給湯器やキッチン、お風呂、トイレなどの設備は基本的に含まれていません。
「修繕積立金を払っているから、家の中の設備も全部その対象になる。」
そんなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際は別に考える必要があります。
だから私は、マンションを購入するときも、「いつか自宅の設備交換費用も必要になるだろうな」と頭の片隅で考えておくようにしたいと思っています。
私なら、こんなところを確認します

もし今、私がマンションを購入するなら、長期修繕計画ではこんなところを見ます。
まずは、修繕積立金の改定予定。
次に、どんな修繕が予定されているのか。
そして、大規模修繕がおおよそどのタイミングで予定されているのか。
地方で暮らしている私だからという理由もありますが、機械式駐車場があるマンションかどうかも気になります。
機械式駐車場が悪いという意味ではありません。
ただ、設備が増えれば、その分、将来的に維持や更新が必要になるものも増えます。
私はそういう視点でも資料を見るようにしています。
もちろん、何を重視するかは人それぞれです。
駅から近いことを優先する人もいれば、共用施設の充実を魅力に感じる人もいます。
だから、「ここだけ見れば大丈夫」というものではありません。
でも、長期修繕計画を一度開いてみることで、「これから住むマンションは、将来こんな姿を想定しているんだな」とイメージできるだけでも、資料を見る意味はあると思っています。
まとめ|営業担当の説明だけで終わらせず、自分たちでも目を通してみる
長期修繕計画は、難しい専門資料ではありません。
未来を100%予測する資料でもありません。
実際には、物価や人件費の上昇などで、修繕内容や修繕積立金が変わることもあります。
それでも、「このマンションはどんな修繕を予定しているのか」「修繕積立金は将来どう考えられているのか」を知ることはできます。
私は住宅営業時代、お客様が契約を決める前に、この話をする時間を大切にしていました。
「聞いていなかった」が一つでも減れば、納得して住まいを選べる人が増えると思っていたからです。
マンションを購入するとき、間取りや設備を見る時間はたくさんあっても、長期修繕計画を開く時間は意外と短いものです。
だからこそ、契約前に10分でもいいので、自分たちの目で一度資料を見てみる。
そんな時間が、住まい選びを少しだけ納得感のあるものにしてくれるかもしれません



